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伝統的木造住宅の構面振動台実験レポート

(独)建築研究所 
2009年2月18日 / 防災科学技術研究所大型振動台施設において

 昔から私たちの住まいとして受け継がれた伝統的木造住宅は大地震に対してどれだけ強いのだろうか。その疑問を確認したいため実験見学に参加した。

試験体は写真のような標準的な形状で、柱は135mm角で足固めがあり土台なし、差し鴨居は120×240垂れ壁は厚さ70mmの土塗り壁。
以前は柱150mm角にて一度実験しているとのこと。

 この試験体に二回の地震動を使用する。一度目は人工地震波(BCJ-レベル2)二回目は兵庫県南部地震での神戸海洋気象台記録波を長て方向に加振した。

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《一回目加振後の状態》

 上の写真は一度目の人工地震波を加振後の状況。
加振しているときには構造体が横に揺れ柱に負荷が加わっているのがよく見えた。
しかしその後傾きは元に戻り土塗り壁が少々ひび割れた程度でした。
この後、被害の状況を係員が細かく調査したところ柱にも目に見えない程度の「ひび」があることが報告された。

 下の写真と最後の拡大写真は二度目の神戸気象台記録波を加振後の状況。

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《二回目加振後の状態》

差し鴨居と柱の仕口(接合部)箇所で「く」の字に折れて元の状態に戻らないくらい損傷している。柱は計6本あったが全て折れていることが確認できた。
垂れ壁のひび割れも多少拡大したがさほどでもない。垂れ壁(差し鴨居も含む)の強さより柱が弱い(細い)と危険であるということがよくわかる。

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《折れた柱と差し鴨居》

 地震被害は震度だけでは比較できないが、今回の実験はだいたい震度6弱程度で横揺れが大きなものであろうと推察する。
 木造住宅耐震診断において、伝統的木造住宅の垂れ壁付きの細い独立柱は、折損しやすいということがいわれていたが、今回の実験でまさにその状況を自分の目で確認することができた。

2009年02月24日 登録

やっぱり大事な基礎と地盤(建築学会の講習から)

近年、小規模建築物の地盤や基礎についてのトラブルが多くみうけられるという報告がありました。このことより、日本建築学会では、以前からあった「小規模建築物建築物基礎設計の手引き」を大幅に改訂し「小規模建築物基礎設計指針」(以下指針という)としました。

2月28日、それについての講習会が仙台にて開催されました。
内容について少し専門的な箇所もありますが、できるだけわかりやすくレポートします。

Report-------------------------------
最初に、事前調査、地盤調査を最初に取上げている。

特に、事前調査は地質や地形の把握は大事。市街地や分譲地は以前の形状がわからなくなっていることが多いので、古い地形図、地名など重要。隣地に建物があれば、沈下、亀裂、傾きなどの有無を知ることができかなり参考になる。
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《新潟中越沖地震による旧鯖石川流路被害》
《解説:以前、川であった箇所が沈下、液状化の被害があり多くの家屋に傾斜が見られた》

地盤調査については、スウェーデン式サウンディング試験(以下SWSという)が一般的である。必要に応じて土質調査などの補完が必要。
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基礎計画、設計においては、事前調査、地盤調査にもとづき、基礎の選定をする。
建築基準法では、SWSなどににより地耐力を算出して
20kN/㎡以下 基礎くい
20kN/㎡~30kN/㎡ 基礎くい、べた基礎
30kN/㎡超える 布基礎
としている。
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指針では、地形から、土質から、SWSからのフローにより直接、基礎(布基礎、べた基礎)、直接基礎+地盤補強、杭基礎、など選定例をあげている。
(地盤補強:簡易な方法、浅層混合処理工法、深層処理工法、小口径杭などがある。)
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更に、宅地造成地盤や擁壁などにもふれている。住宅の不同沈下事故の原因は、擁壁の埋め戻し土や傾斜地の片盛土などの収縮沈下によるものが49%。軟弱地盤上の盛土造成などの圧密沈下によるよるものが30%。
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 実に、全体の約8割は宅地造成地盤に関する問題である。

「宅地造成等規制法という法律があるのでは」という指摘もあるが、崖崩れ土砂の流出など防災処理を主な目的とするため、小規模建築の沈下・傾斜などに関する技術的基準を示したものではない。

 造成宅地を適切に造成し確実に評価することは、不同沈下事故防止の必須条件となる。

--------------------------------------------Report END

 「たかが住宅の基礎」という専門家もいますが、構造計算の義務付けのない木造住宅にとって簡単に基礎を選定工せず、事前調査、地盤調査、土質調査等の手順を踏んで慎重に設計するほうがよいと考えます。

2008年03月02日 登録

伝統的木造軸組構法の実大水平加力実験の見学

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成19年3月14日(水)に財団法人日本住宅・木材技術センター構造耐力実証実験委員会(委員長:大橋好光(武蔵工業大学工学部建築学科教授) )が独立行政法人建築研究所にて伝統的木造軸組構法の実大水平加力実験の公開しましたので見学をしてきました。
この実験は実際の大きさの住宅を横から地震力を想定した力を加え変形、損傷、振動などのデータをとるもので今後、伝統構法の構造解析に役立つものです。
1995年阪神淡路大震災以降。木造住宅の実大実験が数多く行われ現在その成果は建築基準法、木造の構造計算、耐震診断と補強などに生かされ私たちの役にたってきています。
今回の実験に使われた住宅は「大工育成塾」の卒業制作による「伝統的木造軸組構法」で柱4寸、通し柱5寸、貫1寸×3.5寸、接合の金物は使用せず内外壁とも土塗壁の本格的なものであった。
このような住宅は昔から骨太でがっちりしていて粘り強いという評価はあるものの現在の基準法では未解明なことが多いため建設を難しくしているのが現状です。
本実験によって伝統的木造軸組構法の変形、損傷、振動などを解析することによって将来の貴重な資料となるものです。
私たち建築士でさえこのような実験を見る機会はまれでしたので、その価値について理解と興味を持ち合わせている建築士数人でで800km強の往復を日帰りして見学をしてきました。
数値やレポートも大切ですが本実験を自分の目で見て肌で感じ、その感覚を身に付けることも大切だと思いました。

2007年03月30日 登録

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